Reciprocal Module School
作品紹介
国の成長戦略の一環として、建築における木材活用の機運が高まる社会背景のなか、学校施設等、開放性が求められる中大規模施設でのCLTの利用促進・普及を目指し、軸組構造による標準化構法を考案した。市街地での建設を想定していることから、輸送や施工の効率化、立地による制約からの解放を意図し、小分割された歩留まりの良いパーツを組み立てることで成立する構法としている。この構法は、CLTにより構成されたT型モジュールの配列によって、8m間隔に柱を落とすシステム(SSS)と、ロングスパンを意図したシステム(LSS)の2種の架構形式が選択でき、これらを適材適所、使い分けることで、シンプルなシステムながら多様なスペースが創出できる。また、金物工法による継手・仕口の採用により、材の着脱が容易であるため、教室数の需要の変動や用途転用による改築・減築ができる柔軟性のある計画としている。以上から、人口動態や地域のニーズに対応した持続可能な建築物の創出に貢献できるものと考えている。
作品概要
受賞部門 | 設計部門 |
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受賞年 | 2023年 |
賞の種類 | 特別賞(日本CLT協会賞) |
受賞者 | 朝山 宗啓(朝山宗啓建築設計事務所) |
講評
CLT標準化工法の新たなメニュー提案から、その構法を適用した市街地の小学校を計画するという提案です。この提案では、CLTで作られたエル型やボックスの柱を使用し、開口を確保しながら標準化されたフレームで教室を構築し、独特のレシプロカル構造を持つ梁を使用して、短い材で大きな空間を覆う方法が面白いと評価されました。また、柱と床の基準を組み合わせ、RCとCLTのシステムを共存させ、要求に応じて組み上げていくアプローチが提案されており、部材のシステムからの発想を活かして、学校の建築に貢献するアイディアとして高く評価されました。