芽ぐみの森-多様性が生まれる小学校-

作品紹介

感受性が強く、社会性を身につけていく過渡期である小学校6年間に、CLTによって造られる多種多様な建築空間によって、従来の小学校では得られない活動や機会を与えられる建築を目指した。敷地は市街地でありながら豊かな自然に囲まれる武蔵野市立第二小学校に設定した。CLTの特徴である加工のしやすさと、マザーボードの規格による特有の寸法を活かし、子供の生活をのびやかで自由なものにするため、数パターンの形を決定し、その形状にマザーボードを切り抜く。これによって生まれる余分なパーツも建材として利用することで、意図しない形状による偶発的で新たな空間の使い方を実現する提案である。例として、一般教室群は廃材が出ないようなパーツの組み合わせによって特有のスケールのユニットを構成した。また、CLT材は「燃えしろ層」と「構造部材としての耐力」を考慮した5層7プライの構成とすることで、1時間耐火構造とスラブの剛性を確保することにより大空間の設計も試みた。

作品概要

受賞部門 設計部門
受賞年 2023年
賞の種類 特別賞(日本CLT協会賞)
受賞者 千葉 大地(株式会社プランテック)
玉村 愛依

講評

CLTのマザーボードを効果的に活用し、余すことなく使い廃棄をゼロにすることを考えられた提案です。抜かれた部分も再利用することで、建物全体に独創的な造形が生まれています。この建物では、学校建築の環境において、解釈の余地があるものが取り入れられており、自主的な場の解釈や用途の見出し方によって新たな発見が生まれることが面白いと評価されました。また、小規模校の計画において、CLTを活用しながら多様な場所を提案する視点が、学校建築のとらえ方として重要な視点であると評価されました。