Re下谷小学校 -CLTを用いた既存ストックの再生-

作品紹介

東京・上野の地に残る旧下谷小学校は、関東大震災以後RC造の小学校のプロトタイプとしてつくられた復興小学校のひとつである。本計画では、CLT を用いた耐震改修に可能性を見出し、老朽化した校舎を既存ストックとして保存・活用して、次世代に向けた小学校へと再生した。既存躯体に外付けしたCLT は耐力を付与するとともに、平面を柔軟に拡張し、CLTの木質と歴史的意匠が織りなす空間を創出することができる。既存外壁の南側には、一般教室や特別教室である「CLT room」を拡張し、北側にはCLTを構造フレームとした大空間「CLT void」を増築した。東京の市街地において、近隣に分散する小学校や公共施設と機能を相互に補完し合う関係性を構築することで、小学校を通して地域全体に新たな価値をもたらすことを考えた。長きに渡って地域に根付いた近代遺構をCLT によって現代版復興小学校として再生することで、歴史継承、地域交流、多様な学びを生み出す場所となることを目指した。

作品概要

受賞部門 設計部門
受賞年 2023年
賞の種類 環境大臣賞
受賞者 荘司 知宏(株式会社熊谷組)
本多 みずほ(株式会社熊谷組)
多田 翔哉(株式会社熊谷組)
金子 奈央(株式会社熊谷組)
野瀬 匠(株式会社熊谷組)

講評

この作品は、既存のRC造建物に部分的にCLTを使用して耐震補強し、新たな空間を創出する構成がされています。この手法は現行の法規には適合しづらいものの、将来的に採用される可能性があります。 また、外観保存とRC構造の再生を考慮したユニークでアイディアに富んだコンセプトや内部空間のデザインに対する独自のアプローチが評価されました。建築物の歴史的価値や特色を尊重しつつ、新たなデザインや機能性を取り入れることで、建築物の魅力を向上させる可能性を示唆した作品として、高い評価を受けました。