OVERLAP

作品紹介

工法、活動、時代をオーバーラップさせた建築物を提案する。平面構成になりがちなCLTから、曲面的な建築物を創りたいと考えた。CLTの加工性と面としての強度に着目し、プレカットされたCLT部材を重ね合わせる工法を採用。CNCプレカットマシンを活用し平面の塊から部材を掘り出す事で曲面を成形した。CLT部材を重ね合わせた層を3層、CLTのつくりと同様に各層を互いに直行させて積層し、一繋がりの曲面構造体を形づくった。想定敷地は東京都墨田区の北十間川。現在、川に沿って商業施設や船着場が整備されるなど水辺開発が盛んな地域である。その河川上に通行する手段としての橋ではなく、河川周辺が一体となって利用される広場を計画。からまり合う床面は、行き止まりのない迷路。回遊する人、佇む人、多様な活動が上下で交差する。かつて物流の拠点であった北十間川を再び輸送路として活用し、広場の下部には木漏れ日のような水辺環境が生まれる。人や船が行き交う姿がこれからの未来に繋がっていく。

作品概要

受賞部門 設計部門
受賞年 2021年
賞の種類 国土交通大臣賞
受賞者 髙橋 賢治
管 さやか

講評

短手・長手の両方にアーチを架ける、CLTの面としての強度をうまく活かした提案です。強度の高い中央部の立体的に交差した部分は、低ライズによるスラスト(水平応力)を川の両側の舗装部分がしっかり留めています。橋の案が多いなか、河川の上に公共的な場をつくるというプログラムも評価されました。