タンス ダンス

作品紹介

CLTだからこそできる建築で街を元気にしたい。空調・換気・採光等、制御され、均質に演出された快適性をもつ都市部のホテルに対し、私たちは、タンスの引出しを引くように、閉じた客室をひらく構成により、 雑然とした都市環境から選択した要素をとりこむ開放的なホテルを提案します。CLTの軽く、しなやかな特性を活かし、RCラーメンフレームにCLTの客室ユニットを挿入することで、最大6m跳ね出す客室・バルコニーを形成し、純RC造の建物ではできない浮遊感のある外観を生み出します。宿泊者がくつろぐ客室はCLTによる木質空間、共用部はRCフレームによって建物全体を支持することで、要求される空間の質に応じた構造を選択し、意匠と構造が一体となった明快な構成が実現します。CLT客室ユニットの凸凹が生み出す浮遊感は、街ゆく人々に木材の軽さ、しなり、力強さを感じさせ、 タンスがダンスする生き生きとしたファサードが、街に元気を与えることを期待します。

作品概要

受賞部門 設計部門
受賞年 2020年
賞の種類 特別賞(日本CLT協会賞)
受賞者 洲崎 洋輔(フリーランス)
寺田 彩瑛子(鹿島建設(株))

講評

既存ストックの活用にCLTが向いていることを見出した点が評価されました。CLTがもつ面としての剛性を利用してボックスキャンチレバーのような形でテラスを作りながらも比較的荷重が小さくてすむように工夫しており、RCのフレームの中に、CLTのユニットを入れるというハイブリッドの混構造などが評価されました。また耐火建築対応でCLTの被覆として、床のRCのスラブを上手に使っていて、石膏ボードに被覆せずに、天井側の被覆にRCのスラブを使うという、耐火の技術面でもよく考えられていると評価されました。