繋がりの余白 -自分の好きを投影するCLTパネル-
作品紹介
下北沢の人々は路地の余白を自由に使い、街を彩り、居場所を作っている。このシモキタならではの無言のコミュニケーションは誰をも否定しないみんなの居場所になるポテンシャルがある。CLT の好きなところを刳り抜けるという性質を活かし400 グリッド上で余白となるパネルを設ける。空間を構成する構造壁でありながら家具のような小さなスケールでも使われる。おすすめの本を置いたり、花屋で植栽を買ってみんなで育てたり。自分の好きを投影できるパネルは図書館を自分の愛着を持った居場所にする。それは、建材に触れる行為となりCLT に触れる機会をつくる。CLTパネルを介した振る舞いがシモキタならではのコミュニケーションを生む。身体スケールの小さな空間が継続的に表れることで滞在の魅力を蒔くと同時に、連なる壁と開口からの景色が次のシーンへの期待を高める。移動と滞在が混在することで、機能によって分断させることのない繋がりを持った空間を目指した。
作品概要
受賞部門 | 設計部門 |
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受賞年 | 2024年 |
賞の種類 | 学生賞(日本CLT協会賞) |
受賞者 | 三須 隆大(日本大学大学院 生産工学研究科 建築工学専攻) |
講評
本作品は、CLTの大版パネルに自由な開口を設けることで、光を巧みに取り入れ、多様な空間を生み出す設計が際立つ作品です。CLTパネルと柱の組み合わせにより、空間全体のバランスが取れ、歩くたびに異なる景色が広がる楽しさを備えたデザインが注目されました。また、X方向とY方向に開口を組み合わせることで、視線が抜けたり、異なる空間がつながったりする仕掛けが施されており、実際に歩くことで新たな発見が生まれる構成となっています。これにより、図書館としての機能を超え、さまざまな用途に対応できるフレキシブルな空間が創り出されています。さらに、くり抜いたパーツを本棚として再利用するユニークなアイデアも評価されており、CLTの自由な加工性を活かしながら、多用途に展開可能な柔軟な空間を提案しています。加えて、CLTの壁配置によって都市の賑わいを表現し、街とつながる新たな空間の在り方を提示する意欲的な提案であり、今後の発展が期待される作品です。