未来を育む知の森
作品紹介
本計画は、少子高齢化や中心市街地の空洞化が課題となっている宮城県白石市における図書館と情報センターを再構築するものです。準耐火構造の一般図書館棟と児童図書館棟、それを繋ぐ渡り廊下で構成し、多世代が学び交流を深める新たな空間を形成します。1階は5.4mグリッドに配置されたCLT壁が「知の森」を形成し、巡りながら発見・学び、リラックスするきっかけを提供。2階は3.6mグリッドの架構にトップライトを組み込み、柔らかな採光を確保します。上下で異なるスパンを採用することで、縦使いCLTの「幹」と横使いCLTの「枝葉」を感じる森のような空間を創出しました。外周はカーテンウォールとし、外からも木質感が伝わる構成としています。さらに燃え代設計や天井材を準不燃材で施工し内装制限緩和を適用すること等で、CLTが被覆されずに安全性と意匠性を両立しました。地域住民や観光客が集う拠点として、持続可能な未来を支える建築を実現します。
作品概要
受賞部門 | 設計部門 |
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受賞年 | 2024年 |
賞の種類 | 国土交通大臣賞 |
受賞者 | 佐藤 俊文(佐藤俊文建築設計事務所)、千葉 遥(アトリエ ユルリ) |
講評
本作品は、木材の特性を活かしたシンプルで洗練されたデザインが光る設計となっています。特に、CLTを素直に用いながらも、建築としての存在感を引き立たせる工夫が評価されました。「みんなの広場」を中心に、さまざまな図書を媒介として多様な空間が設計されており、子どもと大人が共に本に親しみ、成長していく場としての工夫が随所に見られます。また、CLTを板として使うのか、格子梁にするのかといった選択肢がある中で、王道の使い方をストレートに実践し、現実的な設計へと落とし込んだ点も高く評価されました。シンプルな造形でありながら、木質感を際立たせる工夫が施され、木の温かみを最大限に活かした空間となっています。さらに、本作品では準防火地域での設計を意識し、2棟に分けてボリュームを調整することで防火規制に対応している点も評価されました。木造建築の防火性能を考慮しながら、安全に都市に木の建築を取り入れる提案は、今後の建築の在り方としても重要な視点を提供する作品です。