大屋根の図書館
作品紹介
図書館は「まちの憩いの場」である。実際に「まちの憩いの場」となっている図書館は、本の閲覧や貸出のみにとどまらず人々が気軽に立ち寄り、交流を育む場となっている。本提案でも「まちの憩いの場」となる図書館を目指し、まちの機能を集約した多機能型の図書館を計画した。多機能でありながら、それぞれの活動が独立して完結するのではなく、交差し、ゆるやかに影響し合うことで多層的な場の広がりを生みだすことを考えた。空間構成としては、建物の機能を4つに分類し、適切なボリュームを設定する。各ボリュームに角度を与え、中心性を持たせることで中心に向かって活動が滲み出し交差する構成とした。各ボリュームはCLT架構の大屋根で包み込み、建物全体を緩やかにつなぐ。大屋根をCLTで構成することで荷重を軽減しつつ、優れた曲げ強度を活かし大スパンを実現する。また、柱梁は鉄骨とし、スパンを飛ばすことで開放的な室内空間を形成する。その中に、CLT耐震壁を用いることで大空間の中にも緩やかに区画されたヒューマンスケールの居場所を生み出す。CLT耐震壁は地震時の水平力のみを負担する構造計画とすることで耐火被覆を不要とし、CLT現しの温かみのある空間を実現する。
作品概要
受賞部門 | 設計部門 |
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受賞年 | 2024年 |
賞の種類 | 環境大臣賞 |
受賞者 | 藤井 理央(株式会社日建設計) |
講評
本作品は、屋根の美しい形状と光の演出が際立つ、洗練された設計が魅力です。直射日光を適度に遮りながらも、柔らかな間接光を空間全体に広げる工夫が施されており、図書館空間との調和が高く評価されました。建物全体は、角度の異なる4つの空間を組み合わせた構造となっており、中心性を生み出しながら、人々の交流を促す空間を形成しています。さらに、フレキシブルな空間構成により、歩くごとに異なる景色が広がり、人と本との出会いを促すデザインも魅力的です。また、本作品はイベントホールを備えた耐火建築物として設計され、鉄骨架構とCLT耐震壁を組み合わせた構造を提案している点が評価されました。加えて、「ペロブスカイト太陽電池」の活用が企画されており、環境面への配慮という点でも興味深い試みとなっています。文化的施設群を一体化し、本との交流を促す設計がなされており、建築としての魅力だけでなく、地域の人々が集い、学び、交流する場としての可能性を感じさせる作品です。