「北の玄関口」JR 上野駅

作品紹介

「北の玄関口」として永く親しまれてきたJR上野駅の役割を未来へと繋げるため、派手な再開発を行うのではなく、利用者にそして地域に寄り添える駅舎とします。CLTの木質は、見た目の温もりはもちろんの事、カーボンニュートラルの取り組みへも貢献し地球にまで寄り添う事の出来る工法です。面材としての使用をはじめ、線材としてまた、既存柱のコンファインド効果を期待する新たな取り組みにも挑戦します。構造と一体となった無駄を省いた木質空間は、ラッシュ時の混沌とした空間に安らぎを与える事となります。全てを刷新してしまうのではない、ファサードの形状や中央改札口の光天幕・翼の像など過去から引き継がれる上野の風景を大切にしたく考えます。面影を残し、人々の記憶に刻まれ、経年と共に味わいを増す駅舎とし、上野恩賜公園をはじめとした周辺環境と一体となったランドスケープとして存在する事で上野のさらなる活性化に寄与します。

作品概要

受賞部門 設計部門
受賞年 2022年
賞の種類 農林水産大臣賞
受賞者 川口 哲太郎(株式会社NTTデータ

講評

壮大な構想を細かく考え、色々な要素を入れて作り込まれており、それらをしっかりと表現できている点が高く評価されました。時代ごとの工法が、パッチワークのように積み重なってきている上野駅に、この時代の新しいCLTをとり入れ、木造のものがさらに重なっていく様子は非常に面白みがあります。また、都市における木材利用に関して意欲的に取り組んでいることも評価されました。