イーテクノス株式会社
・行田市発祥の電気工事会社イーテクノス株式会社の本社屋として、CLTを利用した、ZEB・OFF-GRIDオフィスが熊谷市の流通センター内に完成した。 ・従業員約20名、2010年以降は太陽光発電工事などに積極的に参加している会社である。 ■建築概要:事務所(CLT構造)棟320㎡、書庫・倉庫(鉄骨造)棟 125㎡、計445㎡ ■構造概要:事務所棟:コンクリート直接基礎、地中梁の上に150角角形鋼管柱を自立させ、屋根を210mm厚のCLT梁・スラブ構造とした。水平力は外周壁鉄骨ブレースが担う。 ■空間と機能: ・ワンルームの執務空間に南入り口部に営業、打合せブースを配置し、人の動きは2枚の壁の合わせ部から扉なしで有機的に連続している。 ・オフィスは管理事務と作業室に分かれ、管理職以下は現場が多く、積算やCAD作業は中央のアドレスフリー机で行われる ・自由な執務空間が単純な一枚のCLT木パネル(1寸5分勾配)で覆われ、ワンルーム空間を作っている。 ■ZEB性能・OFF-GRIDオフィス ・全体の熱還流率UA値は054W/㎡K. 一次エネルギー消費量は501.92GJ/年。 ・屋根はCLTとスタイロエースⅡ65㎜外断熱により、U値0.23W/㎡Kを確保。 ・外壁は鉄骨フレームの中にGW24㎏100㎜充填断熱とスタイロエースⅡ35㎜外断熱によりU値0.25W/㎡Kを確保。 ・内装壁は、充填グラスウールに有孔MDFや杉板目透かし張りとして木室空間をつくり、・吸音性能も確保した。 ・開口部は、南面を採光と冬季のダイレクトゲインを得るため、高さ2.7m、幅22.5mの木製ペアガラスサッシの全面開口とした。 ・夏季での日射遮蔽として、深い軒と木製ルーバーを配置。冷房期平均日射熱取得率ηAC値1.6%を達成した。 ・1寸5分勾配屋根に太陽光発電システム(65KW)搭載し、約71,000kwh/年を獲得、一次エネ消量50,250kwh/年をカバーし、ZEBを達成した。 ・蓄電池(12kwhx2台)を加え、オフグリッドオフィスとして地域の防災等に貢献します。 ■北窓と天窓 ・事務所ビルの平均照明エネルギー約25%を削減するために、北窓と天窓からの自然採光を利用している。 ・北窓は、北壁(5.5mh)の一部を木製ペアガラスサッシとし、上部に天空光を反射するライトシェルフをつけ、曇天で北側採光1500lxを確保した。 ・天窓は、大屋根の中央部にトップライトを設け、室内に大きなシェードを設置し、曇天で2500lx.を確保した。この大きなシェードは執務室空間に中心をつくり、内部にいて太陽高度の変化による時間、季節の移り変わりも感じられる。 ■床下空調と排気熱チャンバー ・空気調和設備は、マルチエアコン(壁掛けエアコン)を直接OAフロア内へ吹くことで床下空調をダクトレスで実現した。 ・外部新鮮空気を排気とパッシブ熱交換装置として、上部レタンチャンバー内と床下排気チャンバーを設置、排気熱で新鮮空気に温めている。熱交換後の新鮮空気は 床下に吹き込み、換気による熱効率を高めています。温度交換効率73%を達成。 ■ローコスト ・CLT補助金を利用し、超ローコストを達成した大きな要因は、躯体性能を高めながら、空調・照明の設備コストを省略できたことなど、ZEB建築・OFF-GRIDオフィスのモデルとなる。
竣工 | 2019年8月 |
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延床面積 | 444.58㎡ |
使用したCLT | 89.7㎥ |
CLT利用部分 | 屋根、天井 |
構造 | S造(CLT利用) |
設計ルート | ルート1 |
建物用途 | 事務所・庁舎 |
防耐火構造 | その他 |
所在地 | 埼玉県熊谷市太井37-6 |
設計 | 意匠:中村勉総合計画事務所 構造:松本構造設計室 |
施工 | サイカン工業㈱+イーテクノス㈱ |