SOHO SHIN-IMAMIYA[コワーキングスペースを併設した事務所ビル]

作品紹介

建築の構造材としてCLTを考えた場合、価格的に鉄筋コンクリートとの比較になるだるう。性能的な面では、これまでの様々な取り組みで大規模木造の防耐火の技術は確立しつつあるが、多くのケースで耐火被覆が必要となり、そのままでは一般のエンドユーザーがイメージする木のイメージを木造でありながら担保できないということが起きる。また材料特性としてコンクリートに比べ比重が軽い。そのためCLTはコンクリートと比べて断熱については有利だが遮音については不利だと言える。施工を考えた時、コンクリートは躯体の工程に鉄筋、型枠、コンクリートの3エ種が必要だが、CLTの場合は基礎部分を除き木工事のみで計画できる上、基本的にプレファブリケーションとなるため躯体工程はかなり短縮できる。また工事で発生する騒音も抑えられる。今回『5階建て以下の事務所建築』をテーマだが、提案に当たっての条件が「日本国内の実在する場所を設定する」ことだけなので、先に述べた材料や工法の特性を比較してCLTにとってよりアドバンテージの高い条件を設定した。

作品概要

受賞部門 設計部門
受賞年 2018年
賞の種類 国土交通大臣賞
受賞者 好川 拓(好川拓建築設計事務所)

講評

シンプルなデザインの中に、どんな建物でもCLTにするのではなく、現行の準耐火でできる法規のなかでCLTの特長を生かした敷地と条件を設定した作品で、今後に普及していく可能性がある形式と評価されました。審査委員票4票が入った作品です。 審査委員からは「パネルをきちっと構造体として使って現実的で、評価できると思います。」「圧縮側でCLTを使っていて、引っ張りが勝つスラブの方をコンクリートにし、庇部分で延焼を防ぐ。その考えが簡明にデザインに出ています。」とのコメントがありました。