CLTがつくる構造と風景

作品紹介

CLTによる構造の力強さと木造の柔らかな表情により、地方の風景の美しさを再発見できる施設を目指しました。従来、木材は軸組構造の様に線材として使われてきました。CLTによって面材としても使用可能となり、木材は線材であり面材でもあるハイブリッドな使い方ができると私達は考えました。本施設では段ボールのペーパーコアの様な構造とし階層により向きを変え、CLTの様な違方向性のある全体で強い構造としました。三角形とアーチ形状の「グリーンボイド」を挿入し、人と人との間に自然を挟み込む事で、持続可能な人と自然環境の関係を築く事を指向しています。計画地は中山間地区の牧歌的な景色と、古くからの街道の要衝として栄えた町並が残る愛媛県内子町です。自然や町に対して選択的な観光が出来る様に、駅・街道とトライアングルを結ぶ川沿いの位置に計画し、内子町が観光消費をする場所から生産性を高められる場所へと変化することを指向したプログラムとしました。

作品概要

受賞部門 設計部門
受賞年 2020年
賞の種類 環境大臣賞
受賞者 橋口 創史(風呂敷意匠設計舎)
藤岡 哲也(藤岡哲也設計事務所)

講評

この作品は、人が住むところと外界とのインタフェースを考え、人と人との間に自然環境を挟むという環境面でのアイデアとコロナ禍で注目されている全熱交換器を使った換気システムなど設備面のアイデアとCLTを使ってこれだけの造形的な美しさを表現できている点などが高く評価されました。また、一つひとつのホテルとしては小さい単位ながら、全体で町並みを造っていて、さらに防火や避難などについてもよく考えられている点などが評価されました。